事例詳細
債権回収と契約書について
商品を販売する際などに、取引先を信用し、契約書を作成せずに取引をする場合もよくあります。確かに、契約は当事者の合意だけで成立するので、口約束でも契約は成立します(保証契約や、法律で契約書等の作成が必要とされる場合を除きます。)。
しかし、契約書がないと、取引先から「商品の代金が違う」とか、「支払期限が違う」とかのクレームを受けてトラブルになり、商品の代金を支払ってもらえないことがあります。契約書に代金額や支払期限などの契約内容を明記しておけば、トラブルを予防することができますが、契約書がないと契約内容を裏付ける資料がないので、トラブルを解決することが難しくなります。裁判をやっても、他に証拠となるものがない場合には、負けてしまう可能性もあります。せっかく商品を販売したのに、代金を回収できないことにもなりかねません。債権の回収のために契約書の作成は予防法務として重要です。
契約書を作成しないでお互いの信用で取引をしている場合であっても、人間の記憶というものは曖昧なものです。お互いに信用を裏切るつもりがない場合であっても、契約書がないことがきっかけで、「言った」「言わない」のトラブルに発展してしまうこともあります。
お互いの信用を維持して取引先との円満な関係を継続するためにも、取引は口頭だけで行うのではなく、契約書を作成することが重要です。